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現代文学講読

現代文学講読

この「現代文学講読」、予習は必須です。場面の区切りのいいところまで、1~2ページ、まず受講生が音読します。あまり苦なく予習できる、というのが、受講レベルの一つの目安になるでしょう。とはいえ、あまり身構えることはないのかもしれません。講師は全体を理解し味わうことに重きをおいているようでしたから。

 

受講生が音読したら、次に講師が部分ごとに音読し、内容を確認していきます。平易な内容であれば音読のみ、平易な中国語で確認できるものであればやりとりは中国語です。受講生からの問いかけは日本語でも中国語でも講師はあまり気にされず、内容によっては中国語、あるいは日本語で返事なさいます。本文にない表現を使っての解釈には、中国語を板書されるので、置いて行かれる心配はありません。込み入った内容は日本語で説明されます。

 

 “三斤三銭肉”、「三斤(1500g)で三銭」という意味ではなく、“銭”は5g、つまり、「1515gの肉」と、買った肉の重量をそこまで細かく表現している、つまり、それだけ金銭に余裕のない生活をしている表れであるとか、“耍朋友”、この“耍”は四川の言葉で、そのまま読めば「友達と付き合う」だけれど、その友達は異性のつまり恋人のことである、といった語彙表現の問題から、そのまま読んでいくと読み飛ばしてしまいそうな中に込められている風刺や思想的な問題まで。

 

お邪魔した日のテキストは、北京の城郭の外にある、昔は北京郊外と言われた、今は北京市に組み込まれた地区を舞台にした短編でした。短編の冒頭にはペットボトルやカップ麺の容器、菓子の袋などのごみが散乱している川の様子が描かれ、この数十年の北京の変化がところどころ織り込まれていました。現代小説ならではの新しい話題もありました。オンライン配信の出会い系サイトのようなものが描かれ、韓流ブーム由来の親指と人差し指でつくるハートマークなどの表現も。

 

中国語の文章の響きを味わい、講師の解釈とともに原文への理解を深め、「今の中国」の人々の息遣いがわかる、そんな2時間でした。

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