1. HOME
  2. 記事・コラム一覧
  3. コラム
  4. 第373回 旧友のようなアナウンサーとの出会い(上) 伊藤努

記事・コラム一覧

第373回 旧友のようなアナウンサーとの出会い(上) 伊藤努

第373回 旧友のようなアナウンサーとの出会い(上) 伊藤努

第373回 旧友のようなアナウンサーとの出会い(上)

会社での第一線の仕事を退いた筆者のような年代になると、一日あるいは一週間、一カ月の生活のリズムはあまり変わらなくなる。同年代の多くの方々もほぼ同様であろう。テレビやラジオなどの視聴時間も日々同じで、早朝は会社への出勤前にNHKラジオ第1の10分間のニュースを聞いた後、朝食を取りながら、朝のNHKテレビのニュース番組を見るのが日課になっている。朝のNHKニュース番組では、若手アナウンサーが多数起用されているというのが近年の印象だが、昔、よく登場していた中堅あるいはベテランのアナウンサーの多くは地方局に異動したり、画面がないラジオ番組に仕事場を変えているようだ。

というのは、最近の熊本・大分を襲った大きな地震や、大型台風など広域的な自然災害時のNHKのニュース報道では、全国各地の放送局からの実況中継が頻繁にあり、以前は東京で勤務していた中堅・ベテランのアナウンサーが出演しているのを見聞するからだ。また、NHKラジオでは、筆者お気に入りの深夜放送「ラジオ深夜便」や文化講演会といった幾つかの番組で、名前を記憶しているアナウンサーが男女を問わず出演していて、その懐かしい声とともに旧友に再会したような気分にもなる。

NHKの報道局やアナウンス室の幹部がどのような基準で、テレビ・ラジオのニュース番組にアナウンサーやアナウンサー出身のキャスターを起用しているのか、部外者にはよく分からないが、なるべく、能力のある若手を登用していこうという人事方針があるようにも思われる。恐らく、民放の類似番組との視聴率競争も若干は影響しているのだろうが、若手のイケメン、美女系(このような言葉はあまり使いたくないのだが…)のアナウンサーを起用すれば、美女系が圧倒的多数の民放ニュース番組にも対抗できる要因にはなるだろう。

(NHKラジオ第1の「ラジオ深夜便」)

筆者はお気に入り、ファンと言えるようなアナウンサーはNHK、民放にはおらず、ニュース番組の質や内容でチャンネルを選びたいと考える人間だが、昔、お世話になった感じを抱くアナウンサーにラジオ番組などで再会できるのはうれしいものだ。先に紹介したNHKラジオ第1の「ラジオ深夜便」は1995年の神戸・淡路大震災の直後からスタートした長寿番組で、通常は午後11時すぎから午前5時までの長い時間を日替わりの「アンカー」と呼ばれるベテラン・アナが進行役を務めている。15人ほどいるアンカーの方々はいずれも50代以上のベテラン・アナで、とっくにNHK規定の定年を過ぎた70代になっても、現役で活躍されている「超ベテラン」が何人もいる。

この番組のリスナーの多くは一人暮らしの高齢者だったり、深夜勤務があるトラック運転手だったりするが、静まり返った深夜から未明にかけてラジオから聞こえてくる声や音楽、インタビューに耳を傾ける人が多いのは、こうした時間帯の番組に対するニーズが高いことがある。毎正時ごとに約5分のニュースが流され、この短いニュースを担当するのもアンカーとは別のベテラン・アナだ。ラジオは、番組の進行役と視聴者が直接的につながる人間的な放送媒体だとよくいわれるが、毎晩、出会いたい声が多く、寝不足とならないように注意しないといけない。(この項、続く)

 

タグ

全部見る