1. HOME
  2. 記事・コラム一覧
  3. コラム
  4. 第367回 東京郊外の自宅近くの「名園」紹介 伊藤努

記事・コラム一覧

第367回 東京郊外の自宅近くの「名園」紹介 伊藤努

第367回 東京郊外の自宅近くの「名園」紹介 伊藤努

第367回 東京郊外の自宅近くの「名園」紹介

一大ターミナルの新宿副都心から私鉄の各駅停車の電車で30分ほどの都区部と多摩地域の境界部に住んでいるが、自宅の近くには武蔵野の名刹・深大寺と神代植物公園、都立・野川公園、吉祥寺駅に隣接する井の頭恩賜公園があり、休日に手軽に散歩するには恵まれた居住環境にある。3か月に1度のペースで通院する大学病院の担当女医からは、アルコールを控える節酒と日頃の運動に心掛けるよう強く申し渡されているので、天気の良い週末は家内から回ってきたお下がりの「ママチャリ」で3つの公園のうちのどれかを目的地に、愛用の携帯ラジオを胸ポケットに入れてサイクリングとしゃれ込む。休日によく聞くラジオ番組はサイクリング中も聞きたいためだ。

今年のゴールデンウイークは比較的好天に恵まれたので、その日の気分に合わせてそれぞれ1か所ずつ訪れた。ふだんと違って人出が多く、目的地の公園ではいろいろな人間観察ができて興味深かった。行き先は前後するが、5月4日の「みどりの日」は神代植物公園が無料開放日ということで、いつにも増して老若男女の入場客が多く、たまたま長いベンチで隣り合わせた高齢女性の仲良しカップルや、車いすを使った高齢の母親とその息子夫婦の会話のやりとりが自然と耳に入ってきた。プライバシーがあるので、ここでの詳しい紹介は避けるが、「オレオレ詐欺」のような電話を使った詐欺に遭わない心得などを延々と話していた。美しい花々に囲まれた好天の下、気の合った者同士のおしゃべりは格好の気晴らしだったようである。植物園に隣接する名刹に足を延ばせば、門前では名物の深大寺そばも味わえる。

多摩川に流れ込む一級河川ながら清流の趣きがある野川のサイクリングロードを上流に向けて走ると、三鷹市の外れに広大な野川公園がある。伊豆七島の大島などへの空の玄関口・調布飛行場にも近く、公園のすぐ上空を着陸態勢の小型機が頻繁に飛行しており、飛行機好きには間近で航空機を見ることができる楽しみもある。野川公園には、子供向けの遊具が置かれた一角や野外バーベキューができる場所が設けられているが、ここの人気はただっぴろい草の広場とうっそうと茂る木々である。遠くを見渡せる大広場では、小さな子供がいる家族連れがバドミントンやボール遊びに興じていた。たまたま訪れた連休中のような祝日には、おじいちゃん、おばあちゃんが交じった3世代の入場者が多いのも特徴で、近くから聞こえてくる祖父母と孫の会話を聞くのも楽しい。小さな子供にとっては将来、忘れられない思い出となるだろう。

井の頭公園は、都民に大人気の商業地区・吉祥寺に隣接しているので、訪れる散歩客は多士済々だが、若い男女のカップル、家族連れが多い印象だ。公園の中央にある井の頭池には遊具用の足こぎボートなどもあり、乗り場の前に長い行列ができていた。この公園は桜の一大名所でもあり、花見の季節は多くの市民が駆けつけ、立錐の余地がないほどになる。週末や祝日を除けば、訪れる人はそれほど多くなく、閑静な武蔵野の雰囲気に浸ることができる。公園には淡水魚の水族館、自然文化園などの動物園が併設されている。井の頭公園は、人出が少ないウイークデーに限るというのが長年の公園通いから得た結論である。
 

タグ

全部見る