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第339回 それからの「ベトナム」を訪ねて 伊藤努

第339回 それからの「ベトナム」を訪ねて 伊藤努

第339回 それからの「ベトナム」を訪ねて

このコラムが掲載されるころ、筆者は恐らく、十数年ぶりにベトナムの各地を訪ね歩いているはずだ。というのは、コラムを毎週交代で担当している同業の先輩ジャーナリスト、直井謙二氏と11月上旬から中旬にかけてベトナムへの取材旅行を計画しているためだ。成田から中部のダナンに向かい、その後、南北統一鉄道に乗ってほぼ1日がかりで商都ホーチミン市(旧サイゴン)を目指し、東南アジアの大河メコンを含む南部各地を巡り歩くという旅程を組んでいる。

東南アジアでの特派員歴が長い放送記者出身の直井氏は、1990年代後半のバンコク駐在時代にハノイ支局長も兼務しており、ベトナムへの出張が50回近くを数えるベトナム取材の強者である。日本とも縁の深いベトナムでの数々の取材の一端はこの「アジアの今昔・未来」への氏の寄稿を目にしていただければ、すぐにお分かりのことと思う。だが、なぜまたベトナム取材なのかという理由は、本人の弁によれば、「彼の国に長く行っていないので、発展したベトナムをこの目でぜひとも見てみたい」とのことだった。元放送記者としての当然の思いだろう。

チャン・トー・ガーさん(筆者撮影)

本欄では、どうしてもタイトルのうちの「昔」、つまり過去に取材したり、見聞したりしたことを取り上げるケースが多くなりがちだが、「今」と「未来」を書くためにはやはり現地での取材が欠かせない。同行を熱心に誘われた筆者も、かねがね同じ思いを抱いていたので、ご一緒することを決めた次第である。

直井氏は長年にわたるジャーナリストの「卒業論文」として、『それからのアジア』(仮称)といったタイトルの著書執筆を描いておいでのようだ。そのためには、海外特派員時代に見聞したことに加え、「その後」、さらには「現在」のアジアをこの目で見ることが必要になってくるというわけだ。

われわれ二人をよく知るベトナムが専門の経営コンサルタント、日髙敏夫氏は冗談交じりに、「私は事務所のあるホーチミン市で『助さん』『格さん』の到着を首を長くして待つ『黄門さま』なので、大船に乗った気持ちで来てください」と連絡をくれた。

全く偶然のタイミングなのだが、その日髙氏のベトナム見聞録の力作『ベトナムに魅せられて―民族が織りなす文化と人間模様』(桜美林大学・北東アジア総合研究所刊)がこのほど出版された。日髙氏のベトナムでの良きパートナーで、女流チェリストでもあるチャン・トー・ガーさんが撮影した美しくかつ貴重な写真がたくさん掲載された新著を手にしながら、旅先のホーチミン市でベトナム談義をするのが今から楽しみだ。

 

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