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第313回 日本製家庭用品の品質は世界トップレベル 伊藤努

第313回 日本製家庭用品の品質は世界トップレベル 伊藤努

第313回 日本製家庭用品の品質は世界トップレベル

前回のこの欄で日本のモノづくりの水準の高さを称賛させていただいたが、その続きというわけで、家庭用品、とりわけ洗濯用の洗剤や歯磨き粉、強壮用ドリンク類、絆創膏、化粧品など水回り、一般向け薬剤に関連する製品は外国製品と比べても品質、価格の両面で国際競争力があると感じる。恐らく、多くの日本人の清潔好きや化粧品に対する消費者の要求の高さなどがメーカーにいい品質の製品づくりを促しているのだろう。

こうした一般向け化学製品分野の市場も年々拡大しているためか、家庭用の洗剤やティッシュペーパー、大衆向けの薬剤などを取りそろえた大型のチェーン店が全国各地に進出している。大きな店舗の看板には英語で「ヘルス&ドラッグ」で書かれている。先日、親類の法事があったため、東北のある県を車で訪れたが、都内の自宅近くにある中型チェーン店の大型店舗があるのに気がついた。たまたま、ちょっと必要だった買い物があったので、周りが田んぼだらけの国道沿いに大きな看板を出した馴染みのある店の大きな駐車場に車を止め、店内に入った。

同じチェーン店なので、広い店内に陳列されている各種製品はほぼ同じで、品物の配置もほとんど変わらない。お目当ての大型絆創膏(ばんそうこう)もあった。洗剤や薬剤、化粧品などを扱うこのチェーン店に限らず、その近くには別の大手ホームセンターの店舗もあり、さまざまな家庭用品を販売する郊外立地の大型店展開は全国の多くの都市で起きている現象なのだろう。

話がやや横道にそれたが、家庭用の洗剤や歯磨き、ティッシュペーパーといった各種日用品は日々の生活を送る上で必需品なので、国内では人口に応じてニーズ、販売高をある程度計算できる。十分なニーズがあるので、メーカー同士の競争は熾烈を極める。となれば、テレビや新聞などを使った効果的な広告、宣伝がライバル企業を出し抜く大きな武器ともなる。洗濯用洗剤のCMやドリンク類、風邪ぐすりなどのCMは繰り返し流されるので、あの洗剤ならこの女優、この健康ドリンク類ならあの元気いっぱいの俳優らといった具合に画面に出てくる顔がすぐに浮かぶ。これも日本の消費財市場で生き抜くための長く続く伝統的手法ということになる。

国内でも海外でも出張や旅行でホテル、旅館を利用する場合、洗面所には必要な歯ブラシや歯磨き、髭剃りなどが宿泊客用に用意されているが、普段とは違う製品のケースが多いので、自宅から歯ブラシや旅行用歯磨きチューブなどを携行する人は多いのではないか。やはり、いつも使い慣れた携行品の方が安心するということもあるに違いない。

以前、タイの大都会であるバンコクに駐在していた折、日本の大手コンビニがようやく進出し始め、店内をのぞくと、チューブ入り歯磨きなど日本製の日用品が多数売られており、使い慣れているという点でありがたかったことを思い出す。洗剤や廉価な化粧品などを造っている日本の大手メーカー、K社、L社も共にタイに進出し、さまざまな製品を生産していた。タイ国内で製造されるこうした日本企業の製品は地元メーカーのものよりは割高だが、所得が増えている都会のバンコクなどの消費者にとっては、K社、L社などの製品が好評だったことを若いタイ人助手から聞いた。品質が購入の決め手になっているからだろう。

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