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中国は海洋大国を目指す?(上) 戸張東夫

中国は海洋大国を目指す?(上) 戸張東夫

<中国は海洋大国を目指す?>

アジア太平洋地域は西太平洋、東シナ海、南シナ海を含む北は日本列島から朝鮮半島、中国を経て南はフィリピン、インドネシアあたりまで広がる海洋だが、南シナ海を中心にこのところ中国の動きが活発になっているという。ちょうど世界中の国々が新型コロナウイルスへの対応に追われている時期だったことから、その隙を突いたのだとも言われた。我が国の河野防衛相は「コロナの危機の中で、中国が力を背景にした一方的な現状変更の試みをしていることは絶対に許せない」と危機感をあらわにしている。

この海域には尖閣諸島、台湾、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島、パラセル(西沙)諸島というアジア太平洋地域の平和と安定を脅かすホットスポットがあり、中国がすべてのホットスポットで領有権や統一を主張して周辺諸国と争っている。いままた中国は周辺諸国をはじめ欧米諸国の反対を押し切ってスプラトリー諸島とパラセル諸島の軍事基地化を進めている。河野防衛相が「力を背景にした一方的な現状変更の試み」といっているのはこのことだ。米国の専門家は「中国が取っている行動の多くは、西太平洋に支配を確立するために計算されたものに見える」と評している(『ニューズウィーク日本版』2020.6.30、24頁)。では以下に中国の活発化した動きの実態と背景を見てみよう。

<中国がアジア太平洋地域で活発な動き>

いま西側諸国の間で南シナ海における中国の動きが活発になっているという声が高まっている。威圧的な行動と評す向きもある。それはともかくここでは中国の動きがどのように活発化したのかを見てみたい。だが中国の動きが活発化しているのは南シナ海だけに限られるものではない。アジア太平洋全域にわたっている。ここでは南シナ海だけでなく広くアジア太平洋における中国の動向に焦点を当ててみたい。

まず中国の活発化した行動といわれるものを以下にいくつかアトランダムに列挙してそれに沿って話を進めることにしたい。
  
▼中国が領有権を主張している我が国沖縄県の尖閣諸島(中国名魚釣島)や統一を働きかけている台湾の周辺に政府や軍の艦船、空軍機を送り込んでくる頻度が高くなり常態化してきたという。
▼ベトナム、台湾と領有権を争っているパラセル諸島海域で中国当局の船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させる事件などが発生している。
▼中国軍のアジア太平洋地域の行動領域が広がり、しかも大胆になってきた。
▼米中間で動揺しているフィリピンと米国のアジア太平洋戦略に欠かせないオーストラリアの2か国を中国サイドに移そうと上から目線で強力に働きかけている。
▼中国はスプラトリー、パラセル両諸島を新設した行政機関の管轄下に組み込んでしまった。

中国によるこのような動きが諸外国から危険な動きとか活発化したと評されているのだが、中国は一体どのような行動をとっているのであろう。



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