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第383回 先輩記者の定年後人生は「アジア投資の指南役」 伊藤努

第383回 先輩記者の定年後人生は「アジア投資の指南役」 伊藤努

第383回 先輩記者の定年後人生は「アジア投資の指南役」

勤務先の元職場の先輩、Yさんが最近、満65歳となり、会社規定に基づく5年間の定年後嘱託を終え、40年余に及ぶジャーナリスト人生にピリオドを打った。現役記者時代は自動車業界や財政・金融分野を主に取材したが、定年後人生は東南アジアの投資事情などを日系企業関係者らに紹介するジャーナリスト兼経営コンサルタントとして、これまで培った企業や役所関係の人脈に加え、現地体験、専門知識を武器にアジア新興国市場の魅力を訴えていくそうだ。「アジア投資の指南役」として、第2の定年後人生の成功を陰ながら応援していきたい。

Yさんは40代半ばまでの経済記者時代、海外駐在勤務はなく、日本の主力産業の自動車業界や財政・金融政策の元締めである大蔵省(現財務省)、経済産業省など編集局経済部の主流畑を歩んできた。そのYさんが定年後の第2の人生でアジア各国の経済動向や投資事情を専門に選んだのは、会社人生の後半で担当した中国を含むアジアでの「ニュース・情報商品」の販売拡張の仕事が大いに関係している。

それまで経済畑のニュースを追っていたYさんと、国際ニュース報道部門にいた筆者とは同じ会社にいながら、入社年次も異なるので、面識は全くなかった。そのような中で、たまたまの会社の人事異動でニュース・情報商品を編集し、海外に進出している日系企業にその商品を売り込むセクションに共に配属され、机を並べたことで知り合いとなり、その後、公私ともに付き合いを重ねていった。


筆者が異動先の部署の編集部門、Yさんは市場開拓・販売部門の担当ということで、互いに「車の両輪」となって海外進出日系企業向けの情報商品づくりに力を注ぐ生活が5年ほど続いた。この間、Yさんは日系企業が各地に多数進出している中国をはじめ、ベトナム、インドネシア、タイ、ラオス、ミャンマーなど各国に出張しては、日系企業から多くの契約を取り付けた。優秀な記者であると同時に、敏腕業務マンでもあったのである。もちろん、業務担当者の海外出張は、事前に目星を付けた日系進出企業からの契約取り付けが最大の仕事だが、もともと国内で日本企業の現場を取材してきたYさんは、こうしたアジアの国々への出張を繰り返したことで、現地の経済情勢や投資環境、日系企業に対する地元産業界からのニーズを取材する機会にも恵まれ、いつの間にかアジア新興国の投資事情の専門家になっていたというわけである。

Yさんが講演会などで取り上げるアジア新興国の経済動向や投資事情などについては、かつて同じ国を取材で訪れた経験のある筆者の見聞や知識、分析とは異なることも少なくないが、いろいろな見方、分析があるということで互いに参考にし合っているのも事実である。Yさんが最近送ってきた電子メールには、「時々は取材で東京にも出向くので、今後とも意見交換をよろしくお願いします」と書かれてあった。筆者も、全国を飛び回って講演し、引き続き自腹でアジア各国を取材するYさんから、いろいろなことを教えていただきたいと思っている。

 

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