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第390回 バンコク猛虎会の思い出  直井謙二

第390回 バンコク猛虎会の思い出  直井謙二

第390回 バンコク猛虎会の思い出

広島カープが25年ぶりにリーグ優勝を果たした。広島は町を挙げての祝賀会で盛り上がっているというニュースが駆け巡った。東京など大都市とは違った地元密着型の祝賀会はどこか暖かい。

30年前のバンコクでの盛り上がりを思い出した。1985年、阪神タイガースはリーグ優勝を果たしさらに日本一に輝いた。4位に甘んじ観客動員数も振るわなかった今年の阪神とは対照的だ。阪神は巨人と並ぶ伝統のチームだが、戦後のセリーグ優勝を見ても巨人の37回に対し6回と案外少ない。日本一は1985年の1回だけだ。それだけにこの年の阪神ファンの盛り上がりは遠くタイ・バンコクにまで到達した。

筆者はバンコクに赴任したばかりで特に阪神ファンではないことや東京の家の処理それに渡航などに忙殺され、阪神がリーグ優勝したことすら意識になかった。ある日突然、バンコクの日本人向け歓楽街「タニヤ」の一角にある日本食レストラン、その名も「浪花」でバンコク猛虎会が発足した。(写真)

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強烈なファンの大使館員や現地法人企業のトップそれに定住する日本人など官民挙げての結成となった。阪神がパリーグの西武を破り日本一になったことから盛り上がりは最高潮に達した。市内の一流ホテルのホールで日本一を祝う祝賀会が開かれたが、大勢の日本人で埋まり10歳になる息子は巨人ファンであるにも関わらずトラの絵が描かれた小旗をもって祝賀会に参加した。ひいきのチームの枠を超えて日本のプロ野球ファンとして参加していた人も多かったようだ。ホテルばかりでなく日本人向け歓楽街全体が阪神の日本一に酔いしれていた。

それから10年ほどたった1996年再びバンコクに赴任した。この頃は関西の新聞社やテレビ局の特派員が多かった。連れだってカラオケバーに行くと阪神ファンであることをむき出しにして、「六甲おろし」を注文し一緒に歌うように促される。良く歌詞が分からないので口をパクパクさせ最後のフレーズの「オー阪神タイガース、フレーフレーフレー」だけ声を出していた。一方、映像はなんとすでに一線を退いたバースや掛布が活躍する場面が出てくる。

改めて阪神タイガースのその後の成績を調べてみた。1985年から1996年まで一度もリーグ優勝すらしていないことが分かった。その後2003年と2005年にリーグ優勝しているが日本一にはなっていない。バンコクのカラオケバーの映像が書き換えられるよう来期こそ阪神の奮起に期待したい。

 写真1:バンコクの日本人向け歓楽街「タニヤ」の一角にある日本食レストラン、その名も「浪花」でバンコク猛虎会が発足


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