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第68回 情勢が悪化するペシャワール 直井謙二

第68回 情勢が悪化するペシャワール 直井謙二

第68回 情勢が悪化するペシャワール

旧ソ連の侵攻、内戦、それにイスラム原理主義勢力タリバン政権の崩壊など、アフガニスタンが政情不安になるたびに隣国パキスタンの国境の町、ペシャワールに多数の難民が流れた。

ペシャワールの難民キャンプには、ついに祖国に帰ることなく没したアフガン人が眠る巨大な墓地がある。1979年のソ連によるアフガン侵攻以来長い間戦闘が続いていたことを裏付けている。イスラム社会の難民は自由な行動が許されている。東南アジアなどの囲われた地域に閉じ込められ、自由な経済活動も許されない難民とは対照的だ。

アフガン難民が店主の店が並ぶアフガン通りには、工芸品店や洋服屋などが軒を連ねている。店を持てないアフガン人はイスラマバードで時折開かれるバザーに参加して生活費を稼ぐことができる。かつてシルクロード(絹の道)沿いの街で開かれたバザールを思い起こさせる光景だ。

買い物客と値段の駆け引きが済み、売買が成立すると握手をする。(写真) 日用品のほかにたくさんの絵画が売られている。カブールの都の風景を描いた絵に引き寄せられた。建物と街路樹が描かれ、路上にカフェーがあり、人々が楽しそうに談笑している。戦乱がやまない祖国に早く平和が来るようにとの願いが込められているようだ。

第72回 直井.jpg

雑貨店でランプを買った。「アラジンの不思議なランプ」に出てくるようなランプだ。

行動の自由が保障されているので、パキスタン最大の都市カラチ郊外にもアフガン難民が住んでいる。日干しレンガを積んだだけの粗末な難民住宅が軒を並べていた。

カラチではアフガン人通りやアフガン人のバザールは見つけられなかったが、パキスタン最大の商業都市だけに大勢のアフガン人が働いているはずだ。

アフガンの人々にとって、ペシャワールにさえ逃げ込めば一安心だった。戦闘に巻き込まれることもなく、自由な経済活動も保障されていた。

ところが最近、アメリカをはじめとするNATO(北大西洋条約機構)とタリバンやテロ組織との戦いが激しさを増し、ペシャワール近郊も安全とは言えなくなってきたようだ。

かつてペシャワールは、仏教文化の聖地ガンダーラの中心地だった。バーミヤンの巨大な石窟仏像を見ながら三蔵玄奘も経典を求めてペシャワールを目指した。

仏教やイスラム教などの宗教やさまざまな人種の交差点ペシャワールに安定がもたらされるのはいつのことになるのだろうか。


写真:アフガンバザールの光景

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