いったい誰なのよ

かつての職場で,上司(日本人)とお客さま(中国人)の間に入り,会話の橋渡しをしたことがあります。
2人の共通の知人の話になり,先方が Lìchuān xiānsheng と言うので,私は上司に「タチカワさん( “立川先生” )という方,ご存知ですか」と尋ねました。
上司は「知らないなあ。ミドリカワさんじゃないのか」と話の流れから推測してくれます。
おお……正しくは “绿川” Lǜchuān だったか! 高速の中国語,聴解の怪しい私には li と lü はどちらも「りー」に聞こえます。駄目だこりゃ……
お開きになった後,ふと上司の手元を見ると「翠川」の2字が。え……これだと発音は “翠川” Cuìchuān です。私は慌てて「ミドリって『翠』なんですか。ずっと『緑』で訳してました」。
上司は「どっちでもいいんじゃない?」 いや,良くないでしょう……
翌日,なんと先方は「立川さん」の話をしていたことが分かりました。別人のことで盛り上がっていた2人,噛み合わない2人,役立たずの通訳……
(落合理子)
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《傻瓜通讯ー中国語珍道中》は「東亜学院季報」に掲載していたものを再掲してきました。
2025年4月から書きおろしを掲載しています。
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