欧米の映像作品に慣れた目には時代遅れなイメージのあった中国時代劇ですが、映像も脚本も音楽もすっかり洗練されていました。紫禁城や阿房宮（秦王宮）、江南水郷などを再現した一分の一スケールのロケ地や北方の広大な草原で撮影されたドラマは演員たちの優れた容姿、訓練された所作、華麗な衣装と相俟って並の映画を見るより贅沢な気分になります。これまで見た中で特に印象に残るのは「歩歩驚心/宮廷女官若曦」（康熙帝9人の皇子による皇位争い、これで四爺/雍正帝の人気が高まったとか）、「三国機密」（従来の三国志演義と異なり献帝と司馬懿が実は義兄弟で主人公という奇抜な設定）、「軍師連盟」（司馬懿を中心に憑依型演員たちが競って三国志の主要人物を怪演、毎回がクライマックス）、「鬼谷子」（春秋戦国時代、東周の天子を筆頭に奇怪な君主たちの濃密な舞台劇を見てるような息苦しさ）などでしょうか。これらはまだ中国時代劇を見たことのない方にも是非お勧めしたい作品ですが、唯一の難点は…とにかく長いです。50話以上あります。

それまで私は中国語に対してまるでケンカしているような怖いイメージしかなかったのですが、思いがけず劇中の皇子や君子たちの話し方はとても優雅で歌うよう、つい真似したくて東亜学院の中国語初級クラスを申し込みました。発音も何も知らない初心者でしたが、厳しさの中に愛がある講師の指導のもと、中国語らしい発音で四声を間違いなく言えた時は、まるで自分が皇子か令君になったような気分を味わえます。そして時代はインターネット、SNS。テレビでは放送されない中国ドラマの情報を簡単に得られるので、心惹かれるドラマを見つけてしまうとすぐに見てみたくなります。しかも最近では中国のエンタメサイトで中国語字幕付きの番組を見ることができるので、日本語字幕での放送を待ちきれず「天下長河」（康熙帝の黄河治水を巡るお話）、「九州海上牧雲記」(歴史ファンタジーですが映画を超えた映像美と壮大なストーリー展開で圧倒される)などを見ました。これも中国語学習者ならではの特権です。 

残念ながらまだ中国語字幕なしではストーリーがわかりませんし、字幕を読んでも知らない漢字や意味がわからない部分がかなりあります。そこで中国語学習歴4年目の私は新たな目標を「中国語字幕なしで中国時代劇を鑑賞できるようになる」にしました。そのために必要なのは瞬発力だと考えましたが怠け者の私はそれを一人ではできないので、東亜学院にお願いして同じ志を持つ同学たちと一緒に新しいクラスをカスタマイズしてもらいました。その第一段階は文字を見ずにネイティブのスピードで簡単な文章を聴いて反復する練習です。知ってる単語でも耳にするとわからないことが多く、これにより自分たちがいかに目に頼り、耳を使ってないことがわかりました。第二段階の現在は、飛行場やホテル、買い物など旅行先での場面の会話を自然にできるようになることを目指しています。このプロジェクトを東亜学院と話し合いながら進めていますが、受講者の意を汲み柔軟に対応してくれる学校は滅多にないので、中国ドラマや中国文化、中国旅行に興味のある方はぜひ東亜学院にご参加ください。そして一緒に中国語を楽しみましょう！