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四川省 熊猫義工体験 丁未堂

四川省 熊猫義工体験 丁未堂

四川省 熊猫義工体験

熊猫とはパンダ、義工とはボランティアという意味の中国語である。
パンダは四川省、陝西省、甘粛省にかけて生息し、2023年現在野生のパンダは1864頭、国内外の人工飼育数は673頭、地球上全部のパンダを合わせても2537頭である。

パンダの絶滅を食い止めるため、1983年に『中国保護大熊猫研究基地』(現在の中国大熊猫保護研究中心)が設立され、パンダの生態について研究、その後人工繁殖にも成功した。

『中国大熊猫保護研究中心』の四川省内に複数ある基地のうち、臥龍神樹坪、雅安碧峰峡、都江堰の三ヶ所では、飼育員体験プログラム、通称『熊猫義工(パンダボランティア)』が用意されており、今回私は臥龍と雅安の二基地でそれに参加した。ボランティアと言っても参加費は必要で、一基地につき2万円弱。そのお金はパンダの保護研究資金となる。参加費には入場料と昼食代、作業着レンタル代が含まれる。

取っ組み合い中

プログラムの内容は以下の通り。
まず朝8時半に基地正門に集合し、荷物を預けて青いツナギの作業着に着替える。

コロナ前は「パンダと人間のふれあいタイム」もあったそうだが、今は疫病からパンダを守るためと、お互いの事故防止のために、決して触ってはいけないと繰り返し注意を受ける。

飼育舎へ移動し、パンダが屋内にいる間に、人間は屋外スペースを清掃。そこはパンダの生息地を模して急勾配だ。足元に気をつけながら、食べ残しの竹を撤去し、フンをパンダ個体ごとに集め、新しい竹を運び込み、パンダが食べやすいように竹の端を叩き割る。

それが済んだら、パンダは屋外へ、我々は屋内へとお互いに移動して、ここでもフンや食べ残しの竹を取り除いた後、きれいに水洗い。

我々が掃除した所でくつろぐパンダ

清掃後は、飼育員さんが基地内を案内してくれる。全パンダについて、このパンダは誰と誰の子供でいつどこの基地で生まれて今何歳で…と説明されるのには舌を巻いた。

正午に職員食堂で昼食の後、午後からは基地の仕事内容を紹介する記録映画を鑑賞。
パンダは一頭で暮らす習性の生き物で、365日中2日しか発情しない。飼育員さんは、担当パンダが発する「今日あたり恋愛してもいい気分」というサインを見逃さず、お相手を紹介する。どちらかが嫌がったら、無理強いしない。相思相愛が成立しても、妊娠しているかどうかが判別しにくい。無事産まれても、無事成長するかどうかは分からない。いかに新パンダ誕生が難しいかを知った。

映画鑑賞後は、長年の研究の結果生まれた栄養レシピで、パンダのおやつ蒸しパンを作る。私たちの捏ねた蒸しパンをパンダが食べてくれるのかと思うと感無量である。

噛む時に目を瞑る

蒸しパン作りの後は、子パンダがおやつのミルクをもらうところを見学。その後、作業着を返却して修了証と記念品をもらい、終了。

後日、野生パンダ生息地出身の友人いわく、四川山中には大きな洞窟がたくさんあり、かつて猟師は山で雨に遭うと、そういう場所で時には何日も雨宿りをしたそうだ。そんな洞穴にはパンダが住んでいて何日でも寝て過ごしていたとのこと。食べ物は同居のキンシコウが調達していたそうだ。こんな洞窟派パンダは人間のGPSには感知されないので、野生パンダは1864頭以上いるはずだという、夢のある話であった。


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