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第158回 世界の子供の人気をさらう日本のアニメ 直井謙二

第158回 世界の子供の人気をさらう日本のアニメ 直井謙二

第158回 世界の子供の人気をさらう日本のアニメ

つい最近、スペイン人一家が日本のアニメ、シンちゃんに会うため来日した。スペインでも人気者のシンちゃん、スペインのテレビ局が抽選で日本への旅を視聴者にプレゼントし、両親と子供3人の来日が実現したもので、日本のテレビ局やシンちゃんを編集中のプロダクションを見学し、大喜びだった。

もう30年ほど前になるが、少女アニメのキャンディ・キャンディがフランスで人気になり、パリ支局のスタッフが「キャンディは日本のアニメだ」とフランス人の子供に話したら、キャンディはフランスの子供だと抗議を受けたという話を聞いたことがある。

タイでも日本のアニメは人気ものだ。かつてはドラえもんや一休さん、最近はやはりシンちゃんが人気だ。

25年ほど前、2000人の孤児を保護しているアユタヤの寺を取材したことがある。高度経済成長前の当時のタイでは大勢の孤児がいたが、2000人も養っている寺は珍しかった。2000人の子供たちの食事風景と生活を支える僧侶やボランティアのおばさんの活動が印象的だった。(写真)

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夕食後、テレビに見入る子供たちに将来の夢や希望をインタビューした。将来行ってみたい場所を尋ねると、アメリカなど平凡な答えが返ってくる中で、「アンコクジ」という子供がいた。「アンコクジ」の場所が分からず困っていたら、タイ人の助手が「一休さんの住んでいるお寺ですよ」と教えてくれた。一休さんは安国寺で修行していて、タイの子供たちが訪ねてみたい場所だということが分かった。

日本のテレビ記者なのに、一休さんの修行していた寺の名をタイ人に指摘され、赤面した。当時、ドラえもんと一休さんがはやっていたが、タイの学校や親たちに評判が良かったのは圧倒的に一休さんだった。仏教国タイでは僧侶が尊敬されている上、聡明な一休さんは教育上も良い影響を与えると認識されたようだ。

一方、ドラえもんのノビタは困難に遭遇すると、「助けて―、ドラえもん」とすぐドラえもんを頼り、ドラえもんの与える魔法の道具で安直に問題を解決しようとする依頼心が教育上思わしくないというわけだ。

スペインと同様、今はシンちゃんがタイでも人気だ。シンちゃんの形をした人形を取り出し、タイの子供たちに見せれば、ほぼ100%「シンちゃん」と日本語で答えてくる。タイでも韓流映画やKポップは若者に人気で日本は押され気味だが、アニメだけはまだ日本の独壇場が続いている。


写真1:並んで給食を受け取るタイの児童

《アジアの今昔・未来 直井謙二》前回
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