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第516回 悪化するタイの空気汚染  直井謙二

第516回 悪化するタイの空気汚染  直井謙二

第516回 悪化するタイの空気汚染

昨年の年末から新年にかけオーストラリアでは乾燥による山火事が発生、民家にも延焼しコアラも火傷を負った。

今年1月、趣味のゴルフでタイのバンコクを訪れた。オーストラリアほどではないが、郊外の山では煙が立ち上り、空気が良いはずの中部タイのカオキオゴルフ場も煙っていた。中国からの大気汚染は偏西風の関係で朝鮮半島や日本に流れ込むが東南アジアはあまり影響がない。煙っている原因は小さな規模の山火事だ。自然発火はまれで、ほとんどが農民による野焼きだという。

タイの気候はインド亜大陸モンスーンの影響を受け、日本同様6月から10月までの雨季と11月から5月までの乾季に分かれる。乾季の終わりの4月、5月はカンカン照りの日が続き1年中で最も暑い時期だ。1月は気温も低く空気も乾きスポーツに向いているシーズンだといえる。

世界的な地球温暖化現象による影響なのか今年は乾季にもかかわらずスコールに見舞われた。ひどいスコアに悩まされながらグリーンの上で悪戦苦闘していた。最終ホールまであと2ホールとなったところで雨粒が落ちてきた。この程度の雨なら大して濡れずにホールアウトできると思ったが、キャディさんがバッグをカートから下し一緒に近くの屋根のある茶屋に逃げようという。大げさだなと思いながら茶屋に入った瞬間に滝のようなスコールが地面をたたきつけた。

30分ほど続いたスコールでグリーンは水浸しになった。ここでプレーはあきらめクラブハウスに戻ろうとキャディさんに伝えると、あわてないでも大丈夫だという。確かにその言葉通り、乾季で乾いた地面は雨をたちまち吸い込み、グリーンは元の通りに戻った。経験豊富なキャディさんの天候の読みに舌を巻いた。

9年間のバンコク駐在中は数えきれないほどゴルフを楽しんだが、今回のように乾季のスコールは初めての体験だった。雨季にスコールに遭えば水浸しのグリーンが乾くことはないが乾季だったことが幸いした。ふと気が付くと空気も澄んできた。遠くまで見渡せ、呼吸も楽になったような気がする。

首都バンコクは例年よりさらに空気汚染が進んでいるような気がした。帰国後、地元英字紙バンコクポストの記事で気のせいではないことが分かった。大気汚染はバンコク、パタヤそれにシラチャなど広範囲にわたって悪化しているという記事があった。

バンコク都知事は1月20日、PM2.5の濃度が75ug/m3 を超えた場合学校は休校にすると語ったという。汚染により休暇が長期にわたり教育の遅れなどの心配もあるが、ラチャパット大学の世論調査では市民のほとんどが政府の汚染対策に期待していないということだった。

《アジアの今昔・未来 直井謙二》前回  
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