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第2回 ツツジ名山、智異山パレ峰 森正哲央

第2回 ツツジ名山、智異山パレ峰 森正哲央

第2回 ツツジ名山、智異山パレ峰

春から初夏にかけて、韓国の野山はツツジで薄紅色に染まり一年を通して最も華やかな季節を迎える。なかでも「韓国3大ツツジ名山」といわれるのが、慶尚南道の黄梅山(1113m)、全羅北道の智異山パレ峰(1165m)、忠清北道と慶尚北道の道界にそびえる小白山(1440m)で、3座とも韓国南部に位置する。

このほか、麗水の霊鷲山、馬山の無鶴山、巨済の大金山が「南海地域3大ツツジ名山」と呼ばれるなど、ツツジの名所といわれる山は地域ごとにある。

山で見かけるツツジは主に3種で、開花時期も異なる。春、真っ先に咲くのがカラムラサキツツジ(チンダルレ)で、チャムコッとも呼ばれる。葉が芽吹くより先に咲くのが特徴で、山が新緑に染まる前、山茱萸(サンスユナム)、レンギョウ(ケナリ)とともに春の訪れを告げる。

尾根一面を覆うように咲くのがチョウセンヤマツツジ(サンチョルチュクあるいはスダルレ)で、山が新緑に包まれた5月から6月上旬に見ごろを迎える。葉が芽吹いた後に咲く花は濃いピンクで、内側に赤紫色の斑点があるのが特徴。

クロフネツツジ(チョルチュク)は、チョウセンヤマツツジと比べ全体として大振りで気品がある。開花時期は5月中旬から6月。花は薄桃色をしているので見分けやすい。開花と同時に、倒たまご型のやや大きな葉が芽吹く。

今回紹介する智異山パレ峰は、東西につらなる智異山の主稜線が、老姑壇を過ぎ、北へと弓なりにのびた先端部分にそびえる。智異山国立公園内の、数ある峰の一つに過ぎなかったが、稜線一帯でツツジが咲き乱れる春の景観がすばらしく、細石平田(平田とは高所にある平地のこと)とともに智異山のツツジの名所として、全国的に知られるようになった。

パレ峰のツツジは、黄梅山に比べると規模は小さいが、黄梅山が人の手が入った庭園風で人工的なのに対して、より自然の味わいにあふれている。パレ峰では1970年代から80年代末にかけて羊牧が盛んにおこわなれ、羊が毒性のあるツツジだけ食べ残したので、今見るようなツツジの大群生地ができあがったそうだ。

4月下旬に麓から徐々に開花し、5月中旬から6月初旬にかけて頂上付近が見ごろを迎える。シーズン中は連日ふもとの大型駐車場は観光バスで埋まり、ザックを担いだ大勢のハイカーでにぎわう。
雲峰邑へは西の南原と、東の咸陽からバスに乗車、「雲峰邑事務所前」で下車する。バスを降りたら車道を1.7キロほど歩いて登山口となる「智異山ハーブ・バレー」へ向かう。

適度な高度と降水量のある雲峰邑はハーブの栽培に適しており、パレ峰のふもとはハーブをテーマとした公園として整備されている。またそのすぐ北には国立種畜院南原支院などもあり、雲峰邑は農業・畜産業の研究地ともなっている。

公園からパレ峰の頂上付近までは遊歩道が整備され、歩きやすい。ハーブ・バレーの上端まで登ったら、雲智寺との分岐を左折してツツジの原を横切る。ツツジ原を過ぎたらコンクリートの急坂となり、山頂までは1時間余り。

パレ峰のツツジは、頂上下の三叉路から八郎峙(峠)までの約1.5キロ区間が最も見応えがある。一面が紅色の絨毯で、青空のもと背丈よりも高いツツジの間を通り抜ける気分は爽快だ。

●雲峰邑へのアクセス
咸陽から全州、南原行きのバス乗車し、雲峰邑事務所で下車。一日23本・8時50分~20時50分。2,700ウォン。

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