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第20回 東南アジアのスポーツ「タックロウ」  直井謙二

第20回 東南アジアのスポーツ「タックロウ」  直井謙二

第20回 東南アジアのスポーツ「タックロウ」

さまざまなスポーツがあるが、国によって人気のあるスポーツは異なる。スポーツ発祥の歴史や国民の経済状況、それに学校教育によって決まるものだろう。日本人には野球は人気があるが、同じように球を打って走るクリケットを楽しむ人は少ない。インドやマレーシアなどイギリスの植民地だった国々ではクリケットのテレビ中継を頻繁に放送するが、何度見てもルールさえよく分からない。

フィリピンではバスケットボールが盛んだ。アメリカの影響と思われるが、どんなに貧しいスラムでもバスケットボールのゴールポストが立っている。行き止まりの道で1つしかないゴールポストに向かって子供たちシュートを繰り返している姿を見掛ける。

東南アジアで広く人気をさらう「タックロウ」も、日本人にはなじみが薄い。タックロウは、バレーボールとサッカーを組み合わせたようなスポーツだ。バレーのように背より高いネットを挟んで3人一組の選手がボールを打ち合う。

バレーボールはジャンプして手で相手のコートにボールをたたき込むが、サッカーのようにタックロウは手が使えず、足と頭でボールを受け、パスし、アタックする。ただし、サーブのトスだけ手を使える。ネットに張り付いている選手が手でコートの後ろに立つ味方の選手に蹴りやすいボールを投げる。

後ろに立つ選手は脚で相手のコートめがけてボールを蹴る。相手チームは足や頭でレシーブし、同じく足か頭でパスし、足でアタックする。サッカーで見られるオーバーヘッドシュートが頻発する迫力あるゲームが展開する。強い脚のバネと瞬発力が要求されるスポーツだ。

 5月中旬、東京の代々木公園で開かれたタイ・フェスティバルで模範試合が披露され、黒山の人だかりが出来た。毎年催されるタイ・フェスティバルにはタイの屋台やタイダンスなどが披露され、延べ20万人以上の人出でにぎわうが、今年はタックロウに人気が集まったようだ。ネットの上まで伸びた脚からの見事なアタックが決まるたびに、歓声が沸いていた。(写真)


模範試合の後、観客もコートに入って選手に教わりながらボールを蹴っていたが、改めてタックロウの面白さと難しさを体験したようだ。タイやマレーシアなどでは路地裏や広場に簡単なコートを作り、子供たちから大人までゲームを楽しんでいる。路地裏のタックロウのボールは竹で編んだ丸い玉だ。


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