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日本のマナーについて 伊藤孝司(日本語版・1)

日本のマナーについて 伊藤孝司(日本語版・1)

第1回 マナーは時代や地域で多種多様

今回から4回に分けて日本のマナーについて中国語と日本語で紹介します。(中文版


30年前、私が中国の大学で中国語を学んだ際、日本と中国とのマナーの違いに驚かされました。他人の家で食事を出された場合、残らずきれいに食べることが日本のマナーです。これに対し、中国では少し残すことがもてなしてくれた人に対して「満足」の意を示すのだと聞いた時、大きな衝撃を受けました。

マナーは文化や社会、歴史と関係が深く、国が違えばマナーも違います。「中国」と一言で言っても、民族も多く面積も広大な国には、地方ごとに微妙なマナーの違いがあるのでしょう。

日本で生活していく上で、知っておかなければならないマナーがたくさんあります。しかし、日本人でもすべてのマナーを把握しているわけではありません。また、世代間、地域間でマナーに差があり、すべて把握することは無理です。実際の生活ではその必要もありません。

日本で電車に乗る際、ホームできちんと整列して待っていることに、多くの外国人が驚きの声を上げます。しかし、新聞記事によれば、駅員による整列乗車指導が始まったのは1941年。長い歴史を考えれば、比較的新しいことです。1956年には東京駅に到着した列車に乗り込む人々による座席争いで大乱闘が発生しています。ですから、外国人が賞賛の声を上げる日本人の整列乗車も、マナーとして定着するまでにはずいぶん時間がかかったのです。

近年、日本でエスカレーターに乗る際、右か左のどちらかに立ち、片側を空けることがマナーのようです。これも1960年代の末期、関西圏の鉄道会社が片側を空けるようにアナウンスしたことが始まりで、日本社会に定着したのはそれほど古いことではありません。

エスカレーターに乗る際は一般的に、東京や名古屋では左側に立ち、京都や大阪では右側に立ちます。しかし、空けた片側を人が歩くことによって転倒事故が頻発したため、現在ではこのマナーを見直す方向にあります。

このように、マナーは地域によっても、時代によっても変わるものです。一度、マナーとして確立しても、その後、見直されることもあります。マナーは社会生活を反映して変化していくものなのです。

 


(エスカレーターのポスター)

 

  
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