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日本のマナーについて 伊藤孝司(日本語版・3)

日本のマナーについて 伊藤孝司(日本語版・3)

第3回 生活トラブルを回避するためのマナー

中国語と日本語で日本のマナーについて紹介します。(中文版


 現代社会において、マナーはトラブルを回避する役割を担っていると言えます。

 規則として明文化されていなくても、そのマナーにしたがって生活することによって、無用なトラブルを自然に避けることができます。

 例えば、日本でもマンションやアパートなどの集合住宅に住む人は多くいます。同じ建物の中に多くの世帯が住む集合住宅では、当然、様々なトラブルが発生します。国土交通省のマンション総合調査(2018年)によれば、集合住宅での三大トラブルは次の通りです。

    1位 生活音   38.0%

    2位 違法駐車  19.0%

    3位 ペット飼育 18.1%


生活音が他のトラブルを大きく引き離し、ダントツの1位です。例えば、ピアノなどの楽器を演奏する際の音や窓やドアを開閉する音などです。子どもが家の中を走り回り、その振動が階下の部屋に伝わってトラブルを招くこともあります。

(騒音に対する注意喚起)


 もし、日本の集合住宅で生活する場合は、夜9時頃から朝の8時頃まで「他の人は寝ているかもしれない」と思いながら生活するのが良いでしょう。規則等により、夜のピアノ等の楽器演奏を禁止しているマンションも多くあります。

日本の集合住宅に住んだ外国人が日本人とのトラブルに巻き込まれることも最近は珍しくありません。

 私が住む愛知県は外国人労働者が多く居住しています。特に豊田市の保見団地には南米出身の日系外国人が多く居住しています。

 新聞等の報道によれば、保見団地で特に目立ったトラブルは「ゴミ捨て」のようです。

日本では近年、環境問題に対する関心が高まっています。日常生活で出たゴミを細かな種類に分別して出すことが求められます。

 名古屋市を例に挙げれば、①可燃ゴミ、②不燃ゴミ、③資源ゴミ、④粗大ゴミと大きく分類され、それぞれ捨てる日が地域ごとに定められています。もし、可燃ゴミの収集日が火曜日と金曜日ならば、水曜日に出すことは許されないのです。

 ③資源ゴミも、ペットボトル、プラスチック、ガラス、缶(アルミ、鉄)、紙に分けられ、それぞれ指定された場所に排出しなければなりません。ペットボトルは軽く中を洗浄し、ラベルを剥がして蓋を外し、軽くつぶしておくことが求められます。アルミ缶も中を洗浄し、つぶしておかなければなりません。

 あまりの細かさに驚かれた方もいるかもしれません。しかし、名古屋市はまだ緩い方で、さらに細かく分類して排出することを求める自治体は多くあります。

 しかも、単にビニール袋に入れて家の前に置けば良いのではありません。ゴミを入れるビニール袋は自治体によって指定されています。名古屋市の場合、指定ゴミ袋が市内のスーパーなどで販売されています。指定されていないビニール袋に入れてゴミを出しても、収集されないのです。

 このようなゴミ収集の制度を日本生活に慣れていない外国人が理解することは非常に難しいです。新しい場所で生活を始めた日本人でさえ、ゴミ収集方法の地域格差には戸惑うのです。

 新しい場所に住んだら、まずその場所のゴミ収集ルールやマナーを調べることが無用なトラブルを回避するコツです。

上述の豊田市でも、ゴミに関するルールをポルトガル語、スペイン語、中国語などで説明する文書を作成しています。


(ゴミ置き場)


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