ご馳走の筈が…

93年北京。この “通讯” tōnxùn にいつも登場する “姐” jiě のご両親と街へ出ました。お昼に食堂で “姐” jiě がご不浄へ立った時、 “妈” mā が「アワビ好き? 帰ったらふかしてあげる」と仰います。私は「そんな高い物もったいない」と一応、いえ何度も固辞しました。それでも “妈” mā は「今夜はアワビ!」とにこにこ。
その晩食卓に上がったのはトウキビでした。アワビは “鲍鱼” bàoyú、 “妈” mā がふかしたのは “苞米 / 包米” bāomǐ で、方言語彙です。「トウキビは “玉米” yùmǐ 」と習った私には初めての語彙でした。更に言い訳すると、 “姐” jiě 一家は東北人で、時々訛ります。標準音の bāomǐ には聞こえなかったなあ……それにどっちもふかして食べるし紛らわしい……
“妈” mā はその晩 “姐” jiě にそっと尋ねたそうです。「日本はトウキビが高いのかしらね。あんな雑穀をありがたがるなんて理子が可哀相」。私の語学力の方がよっぽど可哀相……
(中国語学校教頭 落合理子)
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《傻瓜通讯ー中国語珍道中》は、「東亜学院季報」に掲載していたものを毎月第1木曜日に再掲しています。
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