サハラやラサより…

92年、北京の学校で。先生が「チーハーラーサー」という音を発して、何度も課文を読んで下さるのですが、私にはさっぱり分かりません。
“去喝拉萨” qù hē Lāsà ([チベットの都市]ラサを飲みに行く)? 意味不明。
もしかして「ハーラーサー」じゃなくて「サーハーラー」なのでは?
……だとしたら “去撒哈拉” qù Sāhālā (サハラ[砂漠]に行く)?
いや、1字目は巻舌の chi に聞こえる……“吃撒哈拉” chī Sāhālā (サハラを食べる)?
それとも “吃喝拉萨” chī hē Lāsà (ラサを食べたり飲んだりする)?
謎は更に深まります。
翌日解説があって、正解は “吃、喝、拉、撒” chī、hē、lā、sā の由。
老夫婦が孫の世話をするお話で、赤ん坊の健康状態を言っていたのでした。
「食べる」「飲む」はいいですよね? では “拉、撒” lā、sā は?
お食事中の方がいるといけないので、後はご自分で辞書を引いて下さい。
寮に帰って「私はこういう1字の動詞に弱い」とつくづく思いました。
「トイレ」は入門で “厕所” cèsuǒ と習いますが、そこでする個別の動作は、なかなか教科書には出てきません。中国語は1字の動詞が嫌というほどあります。そして、暮らしに根ざしたこうした動詞こそ大事に決まっています。
サハラやラサより、まずはトイレだ。3歳の子でも使う言葉をまず覚えなきゃ……と誓ったのでありました。
(中国語学校教頭 落合理子)
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《傻瓜通讯ー中国語珍道中》は、「東亜学院季報」に掲載していたものを毎月第1木曜日に再掲しています。
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