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第29回 代々木公園でのベトナム祭り 伊藤努

第29回 代々木公園でのベトナム祭り 伊藤努

第29回 代々木公園でのベトナム祭り

東京・渋谷のNHK放送センターに近い代々木公園のイベント広場で9月下旬の週末、「ベトナムフェスティバル」という催しがあったので、秋の好天に誘われてのぞいてみた。昨年に続き2回目の開催で、今年は2日間に約10万人の日本のベトナム大好き人間や日本在住のベトナム人が来場したという。会場にはベトナムの食べ物や飲み物を売る屋台が多数出店していたほか、ステージでは民族衣装のアオザイ姿の女性による踊りなどもあり、広い代々木公園の一角は首都ハノイの公園のような雰囲気に包まれていた。

このフェスティバルは昨年、ベトナム戦争終結を受けた日越両国の外交関係樹立から35周年の節目を迎えたのを祝い、始まった。「ベトナム大好き。みんなで楽しもう!」のうたい文句からうかがえるように、お祭り気分がいっぱいの市民の国際交流の場だ。アトラクションとして飲食店、物販店、展示、パフォーマンスの4つのブースやステージが設けられ、東京に居ながらにして「ベトナムの今」を体験できる趣向となっている。2回目の今年は、日本と大河メコン流域諸国との友好・親善を図る「日メコン交流年」ということもあって、ベトナムのほかに、タイ、カンボジア料理の屋台も目に付いた。米麺スープの「フォー」や春巻き、串焼き、お国自慢のカレー、トムヤムクンなど、どの店でもお目当ての食べ物を求めて長い列ができ、午後の早い段階で「完売」となる料理もあった。

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ベトナムフェスティバル

試しに、ベトナム出張時によく食べた「フォー」を注文したが、現地では日本円に換算して30円程度のものが、400円、500円という値段が付いていたのには驚いた。それを売り子のベトナムの若者に話すと、「物価が違いますからね」と完璧な日本語で言い返された。「333(バーバーバー)」という地元ビールはかなりの値段なのに、飛ぶように売れている。やはり、地元料理には地元のアルコールが合うということなのか。

お腹を満たした後、ベトナム人モデルが参加した華やかなアオザイショーや、日越両国のアーティストによる歌や演奏のステージの観客席に行ったが、在留ベトナム人らしい家族連れが祖国を懐かしむかのように熱心に見入っていた。不況下の日本で生活もそれなりに大変なのだろうが、お祭りに参加して、日ごろの苦労をいっとき忘れているように見受けられた。

物販ブースに出展したホーチミン市の日系企業関係者は、会場の混雑ぶりや自社ブースでベトナム雑貨を買い求めるお客さんを見ながら、「ベトナムに関心を寄せる日本人が世代を超えて増えているのを感じますね」と話していた。初参加の筆者も同じ感想を持った。

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