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第13回 爽快な稜線にツツジ咲く仏教霊山 琵瑟山 森正哲央

第13回 爽快な稜線にツツジ咲く仏教霊山 琵瑟山 森正哲央

第13回 爽快な稜線にツツジ咲く仏教霊山 琵瑟山

ことしもツツジの季節を迎えた。そこで今回は、昨年4月に紹介した智異山のツツジ名山・パレ峰(1,165メートル)に続いて、大邱広域市の琵瑟山(1,083メートル)を紹介したい。琵瑟山は、4月中旬から5月上旬にかけて、広くなだらかな尾根一面が薄紅色に染まる慶尚道を代表するツツジの名所で、大邱中心部からも近い。毎年ツツジ祭りも開かれている。

山頂の岩が、瑟という器具を使い朝鮮の伝統楽器コムンゴ(玄琴)を弾く神仙の姿に似ていると、琵瑟山の名がついたといわれる。仏教霊山としての長い歴史があり、史書『三国遺事』を撰述した高麗の高僧、一然(1206―89)も琵瑟山で青年時代を過ごした。最高峰は北の大見峰(1,083メートル)で、マリョン峠を挟んで南に照華峰(1,059メートル)、観機峰(992メートル)がつらなる。主な登山口は西側の達城郡瑜伽面の龍里と陽里、東側の清道郡角北面。龍里と陽里では、消災寺のある龍里から登った方が高度差がなく傾斜も緩やか。そこで今回は、瑜伽面龍里から照華峰北西のツツジ群落に登り、大見峰から瑜伽面陽里へ下山した。

大邱西部バスターミナルから達成郡玄風面行きの直通バスに乗車、玄風面のバスターミナルで琵瑟山行きバスに乗換える。琵瑟山のふもと達成郡は、産業集積地として発展し、琵瑟山の西麓も“大邱テクノポリス産業団地”として開発が進んでいる。バスはその開発区を過ぎて山裾を登ること20分で瑜伽面龍里の登山口につく。

“楽山楽水”と刻まれた石碑を過ぎ舗装道を10分行くと、新羅時代の創建された八公山桐華寺末寺・消災寺の門前でる。ここで右折し、渓谷に沿って坂を登る。一帯は琵瑟山自然休養林として整備され、コンド(韓国語でコンドミニアムのこと)やキャンプ場などの施設がそろっている。子供たちが涼しそうに河原で水遊びしていた。消災寺より上の斜面には氷河期に形成された岩塊流(岩氷河)や崖錐(テーラス)が発達している。「コンド2」を過ぎると砂利道となり、その先で本格的な樹林の山道に入る。今日一番の勾配地で汗絞られる。

50分余りで急斜面をクリアして林道と合流、左へ200メートル行くと、背面を切り立った岩で囲まれた広場にでる。ここが新羅時代の9世紀に創建された大見寺址で、今も礎石と三層石塔、磨崖仏が残る。南に望む白いドーム屋根は、照華峰の気象観測所だ。階段で背面の岩に上がると、なだらかな斜面一面にツツジ畑が広がり、その先に大見峰が望める。家族連れやカップルが、ツツジ畑を横切る遊歩道を散策、のどかな春の日を、心ゆくまで楽しんでいた。

尾根づたいに、さらに北の大見峰へ向かう。約4キロ、1時間20分の道のり。マリョン峠(930メートル)まではゆるやかに下り、潅木やススキの大見峰東南斜面を登り返す。大見峰もツツジが群落をなすが、照華峰側に比べると疎らだ。“琵瑟山大見峰”と刻まれた石碑が立つ広い頂上からは雄大な展望が得られる。洛東江の川面が西日にきらきら輝き、北は青龍山の先に大邱中心部のビル、高層アパート群が望めた。眼下の瓦屋根は道成庵だ。5、6人ほどの男性グループがにぎやかにマッコリを飲んでいた。

帰りは陽里の瑜伽寺へと下りる。急な勾配を下って行くと1時間余りで道成庵に続く舗装道と出合う。何度か舗装道を横切り、修道庵の前を過ぎると瑜伽寺につく。背後に迫る峻険な琵瑟山の岩肌が美しい玉(瑜)と釈迦(伽)の姿をしていると瑜伽寺の名がついた。瑜伽寺から玄風面行きのバスが出ている。


●アクセス(バス)
・大邱西部バスターミナル~玄風 30分所要。2200ウォン
・玄風BT~消災寺 22分所要
・瑜伽寺~玄風BT 24分所要

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