1. HOME
  2. 記事・コラム一覧
  3. コラム
  4. 第14回 ソウル東南端の緑豊かな山 清渓山 森正哲央

記事・コラム一覧

第14回 ソウル東南端の緑豊かな山 清渓山 森正哲央

第14回 ソウル東南端の緑豊かな山 清渓山 森正哲央

第14回 ソウル東南端の緑豊かな山 清渓山

今回は大都市ソウルの南端を画している清渓山(582メートル)を紹介したい。険しい北漢山や冠岳山とはうって変わって清渓山は女性的な山容で、登りやすく、気軽なハイキングや家族連れで訪れるのに適している。西は果川市を間に冠岳山(629メートル)と、南はソウル外環循環高速をはさみ白雲山や光敎山、東は京釜高速道路をはさみ仁陵山と対峙する。風水地理説では冠岳山を右白虎、清渓山を左青龍とみて、青龍山とも呼んだ。

山裾の果川市莫渓洞は緑豊かな丘陵地で、1980年代に地下鉄4号線敷設と合わせ、国立現代美術館、果川ソウル大公園、ソウルランド、ソウル競馬公園などのレジャー施設が集まるソウル近郊の休養地として開発されている。主峰の望京台(618メートル)は軍の施設があるため立入禁止で、望京台の北600メートルのメ峰(582メートル)が頂上の役割を果たしている。ソウルを代表する商業区・江南にも近い。今回は院趾洞からオドゥン谷を経てメ峰に登り、望京台、ソッキ峰(608メートル)、二寿峰(545メートル)、国思峰(540メートル)を経て、南の城南市盆唐区雲中洞へ下山した。
 
江南駅で新盆唐線に乗車、3駅目の清渓山入口駅で下車する。休日ということもあって、改札前は待ち合せをするハイカーで活気を呈していた。2番出口を出て、車道沿いに南へ400メートル行くと清渓山入口十字路にでる。脇に立つ院趾洞石仏立像と石塔を見て右折し、京釜高速道路の高架を抜けると、食堂や登山用品店が並ぶウォント村が現れる。右手の坂を上がっていくと樹齢200年余りの大きなナラガシワがどっしり構えた登山口にでる。

メ峰までは2.8キロ、標高差は430メートル。沢沿いの道は歩きやすく、家族連れや若者らが途切れなく登ってくる。新緑には早かったが、ケナリやカラムラサキツツジが行程にアクセントを添えていた。1時間弱で玉女峰とメ峰をつなぐ尾根にでる。左折して400メートルほど下ってからカリタク峠(350メートル)を過ぎると再び登りとなり、木段が連続する今日一番の登りとなる。メ岩(578メートル)手前で横道に入り1982年6月に起きた飛行機事故の追悼碑に立ち寄った。濃い霧で空軍の輸送機が墜落、53名が亡くなっている。碑を眺めていると、事故で友人を亡くしたという男性が話しかけてきた。メ岩に戻って100メートルも登ればメ峰の頂上。北側の展望に恵まれ、南北に走る京釜高速道路を真中に、左に瑞草区、右に江南区の高層ビルやアパートが遠望できる。

 メ峰から血泣峠(586メートル)を経て清渓山主峰の望京台へ向かう。血泣峠の名は、李朝の儒学者、鄭汝昌(1450―1504)が、国王の悪政を嘆き、国を憂い泣いて峠を越えたという言い伝えによる。鄭汝昌は、清渓山に隠遁、政治事件への連座を逃れた。望京台は立入禁止だが、山頂そばの岩から、果川市莫渓洞のソウル大公園やソウルランドが望める。フェンスで囲われた軍の施設を東側から巻いて望京台の南に回りこむと、城南市寿井区上笛洞から望京台へ続く舗装路と合流する。その先にヘリポートがあり、トイレを併設している。そばの大きな岩峰がソッキ峰のピークで、ルート上で最も展望に恵まれている。

ソッキ峰からは、なだらか尾根をたどって二寿峰と国思峰へ抜け、南の盆唐区雲中洞に下る。ヘリポートから約200メートル下るとチョル峠の広場で、緩やかに登るとチョル峠稜線の三叉路にでる。左折して500メートルも行くと松に囲まれた二寿峰につく。さらに国思峰までは静かな尾根を歩いて35分。国師峰まで来ると、枝越しに盆唐区の高層マンションやアパート群が見えてくる。国思峰からしばらく歩いたら尾根と別れて、南斜面を急下降する。どんどん下るとソウル外環循環高速道路に行き当たり、歩行者用の細いトンネルを抜けると数分で住宅街にでる。近くには韓国文化の研究と教育を目的に1978年に設立された韓国学中央研究院の研究棟が並んでいる。雲中洞のバス停からは、各方面行きのバスが出ている。

タグ

全部見る