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中国マクロ経済動向分析2021年10,11月

中国マクロ経済動向分析2021年10,11月

資源高、不動産信用収縮で減速する中国経済


国家統計局が発表した、第三四半期の実質国内総生産の前年同期比伸び率は4.9%増と、第二四半期の7.9%増から縮小した。資源高で企業収益が悪化したことと、雇用回復の遅れが消費に 不安を残す。また、9月、10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6、49.4と、1年7カ月ぶ りに好不調の境目である50を下回った。内需の減速や原材料高、そして電力不足が重なり、経済 の停滞は長引くと懸念される。一方、11月11日には「独身の日」セールが終了し、大手 EC サイトで あるアリババは期間中の取扱高が5403億元で過去最高となった。

また、恒大集団など不動産会社の経営問題は、不動産業界の信用収縮を加速させている。9月 の不動産向け信託商品は318億元と前年同月の半分以下に減少し、中国の主要70都市における 新築マンション価格も2015年5月以来の値下がりとなった。

貿易については、10月の貿易統計では輸出は前年同月比27.1%増の3002億ドル、輸入は 20.6%増の2156億ドルであった。輸入では原油が6割増加し天然ガスは価格が2倍に跳ね上がり、 輸出ではパソコン等が9月から伸びを拡大した。

習近平国家主席は9月にビデオ形式で行われた国連総会一般討論演説で、2060年までに二 酸化炭素の排出を実質ゼロにする目標を改めて表明した。当分中国政府は気候変動を念頭に置 いた政策を行うと思われる。しかし、11月に英国で開催された第26回国連気候変動枠組み条約締 約国会議(COP26)に習近平国家主席は参加せず、中国政府は石炭利用の段階的廃止に反対の 姿勢を示した。その背景には中国各地で深刻化する電力不足問題があるとみられる。

中国は9月16日に環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請を行った。加入までには長い時間を要するとみられ、特に国有企業への優遇を禁じているルールについて、中国は国有企業に対して長年政策的に支援をしていることから TPP とのズレも大きい。これに対し習氏は、演説で「中 国は積極的かつオープンな姿勢で、産業補助金や国有企業といった議題について協議する」と述 べ、海外が疑問視する問題の交渉に応じる方針を示した。

【2021年10,11月・マクロ経済動向分析_Word】※PDF(.pdf)が開きます。
【2021年10,11月・マクロ経済動向分析_PowerPoint】※PDF(.pdf)が開きます。

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