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「りー らおしー ざい ま?」

「りー らおしー ざい ま?」

 東亜学院の教室は、赤坂霞山ビルの2~4階。昼間、2・3階は主として日本語学校の授業が、中国語学校の授業は4階で行われます。教職員の事務所は3階ですが、入口から全体が見渡せるオープンな造りになっています。

 

 入ってすぐのスペースは「交流プラザ」と称し、中国語・日本語の図書、受講生が利用できるコンピューター、コピー機、自販機、電子レンジなどとともにテーブルとイスがあり、自習や補習、受講生同士の交流などの場として使われています。

 

 受講生と教職員のエリアを分けているのは、背の低いカウンター。このカウンター越しに「りー先生いらっしゃいますか」と不安げな声が聞こえるようになった時、新学期が始まったと感じます。

 

 「りー先生いらっしゃいますか」の声に、受講生エリアに近い日本語学校の先生が一斉に振り向き、「この学生はうちのクラスじゃない」という表情になり、次に、「ああ、中国語学校の受講生さん」と思った誰かが「李先生ですね?」と声を掛け、ご当人を呼び、その場は収まります。この時期、日本語学校の学生もまた、慣れない日本語で、あるいは最初から中国語で「りー先生いらっしゃいますか」“李老师在吗?”とやってくる時期なのです。

 

 「りー先生いらっしゃいますか」は、やがて、心もとなげな「りー らおしー ざい ま?」となり、周りの先生方から「もっと大きな声で」と言われ、それも間もなく一音一音丁寧に発音された“李老师在吗?”になっていきます。それがこなれた“李老师在吗?”になった頃、皆さんひとり一人、駐在に留学にと次の地へと飛び立っていかれます。

 

 もちろん、中には中国語の四声がなかなか大変な方もいらして、“李老师”が“Lì老师”(力先生もしくは利先生)や“Lī老师”(哩先生:“哩”は「文句くどくど」や「不満たらたら」という語に用いる字)になってしまうこともあります。それが最後にはちゃんと“李老师”になり、次のステージに向かわれます。

 

 時に、ふらりと立ち寄られたふうの方が“李老师在吗?”と文句なしの発音で呼びかけ、振り向いた中国語学校の先生方が目を丸くし、その方のお名前を中国語の発音で呼ぶことがあります。修了生さんが駐在を終えて、あるいは日本への出張の合間に立ち寄ってくれたとき、です。お仕事のこと、ご家族のこと、一緒に勉強したお仲間のことを、中国語学校の先生方と中国語で談笑していかれます。“りー らおしー ざい ま?”が“李老师在吗?”になった後も、ここまでいろいろ大変だったに違いないと思いますが、中国語学校の速成講座は、そんな皆さんのスタート地点!です。

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