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廊下から…(下)

廊下から…(下)

 さて、休憩をはさんで、午前の授業後半です。

 

 テキスト本文にある、  “我老家在大阪,家里有父亲、母亲和两个姐姐”を用い「家族は両親と兄がいます」「弟が2人います」「一人っ子です」などを練習した後で、今度は「家にある物」について、文を作っていきます。

  「佐藤同学,『私の家にはパソコンがありません』怎么说?」と先生。指名された佐藤さん、「我家没有パソコン…パソコン怎么说?电脑!我家没有电脑」。

 「木村同学,『私の家にパソコンが2台あります』怎么说?」と先生。「我家有两台电脑」と木村さん。

 

 続いて「車がある」「車がない」「車が2台ある」「テレビがない」「テレビが3台ある」……初めはゆっくり、けれども先生の口調はだんだん熱を帯び速くなっていきます。皆さん、さながら野球のバッティング練習かバレーボールのレシーブ練習のように、次々飛んでくる質問に負けじとついていきます。それに合わせて「いいですね、もう一度、はい次!」といった合いの手も「对,很好!再说一遍!下一个!」とナマの中国語ばかりになり、やがて訳以外はほとんど日本語は聞こえてこなくなりました。テンポよくいくつも置き替え練習をし、皆さん自身の自己紹介もできるよう、いろいろな文を言ったところで「休息五分钟!」(5分休みましょう)。筆者はここまで。午前の授業の後ろ四分の一は失礼しましたが、このテンポで残りの時間も練習が続いたに違いありません。

 

 この速成講座、「日本にいながらにして、中国留学さながらの環境で学ぶ」をうたい文句にしています。授業のテンポ、中国語にどっぷり浸かって聴き、話し、考え、また話す環境は、筆者が現地の短期研修で体験した授業と同じ雰囲気です。一つ違うのは、分からない所は日本語で説明してもらえること。その場で理解して次へ進むことができます。それでもどなたも「日本語の使える気安さ」に流されず「言えることは中国語で!」と奮闘しています。先生方も「(元は)同じく外国語を学んだ身」、教室の皆さんの姿にかつての自分を重ね合わせ、無理ない形で徐々にハードルを上げていくのでしょう。次にまた廊下を通った時は、レベルアップした皆さんの中国語が聞けるはずです。

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