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第24回 ソウルからも気軽に登れる楊平の鎮山 龍門山 森正哲央

第24回 ソウルからも気軽に登れる楊平の鎮山 龍門山 森正哲央

第24回 ソウルからも気軽に登れる楊平の鎮山 龍門山

京畿道の東端、楊平郡に位置する龍門山は、華岳山、明智山、国望峰に次ぐ京畿道第4の高峰で、南漢江と北漢江が合流する自然に恵まれた楊平郡の鎮山として、郡民にひときわ愛されている。ソウルの東60キロ余りに位置し、首都圈電鉄中央線など交通の便が良いので、日帰りの旅先としても人気だ。1971年には国民観光地に指定された。龍門山の名は「龍が姿を現す山」という意味で、李王朝を開いた太祖、李成桂が名付けたとされる。

平坦で広い主峰は、釈迦十大弟子の一人、摩訶迦葉尊者(マハーカッサパ)にちなんで迦葉峰(1157m)と呼ばれる。迦葉峰は軍事基地があるため長く立入禁止だったが、2007年、その一部が約40年ぶりに開放されている。南西側にのびる主稜線には将軍峰(1065m)、咸王峰(889m)、白雲峰(941m)、トゥリ峰(栢松峰・543m)がつらなり、東北に道一峰(864m)、中元山(800m)、北に文礼峰、暴山(天使峰)、鳳尾山、小理山と400~1000メートル級の峰々がそびえる。

山行の起点となるのは、古刹・龍門寺のある西麓の龍門面新店里、南西の龍門面延寿里、南麓の楊平邑白安里、東麓の玉泉面龍川里など。今回は南端の楊平邑公興里から山裾を登り、白雲峰から迦葉峰まで南西側主稜線を縦走、龍門寺へと下るコースにトライした。

楊平駅から登山口までは1.2キロ、道標にしたがって街を抜ける。現代アパート前の道路を北上し、中央路にぶつかったら右折。360m先で教会横の細道へと左折し、さらに楊平中学校裏の団地を突っ切り山道へ。白安里の龍門山自然休養林までは、緩やかな丘陵の散策路を歩く。途中、国道6号線にかかる徳坪陸橋を渡る。北には「京畿道のマッターホルン」の美称を持つ白雲峰がひときわ高く感じられる。

山道を抜け白安里の舗装道にでると、目前に岩の露出した白雲峰の前衛峰が迫るが、白雲峰自体は隠れて見えない。舗装道を上がると、楊平郡が経営する龍門山自然休養林があり、管理事務所、宿泊施設の前を過ぎる。小橋を渡ったら、セスク谷の沢沿いに登っていく。足元は浮石が多い。休養林へ遊びに来たのか、手ぶらで歩いている人も多い。

トゥリ峰との分岐を過ぎ、橋から45分、「百年薬水」の水場で汗をぬぐい喉を潤した。さらにひと頑張りで尾根(700m)にでると、目前に白雲峰が飛び込んでくる。トゥリ峰との分岐をやり過ごし、明るい快適な尾根を歩く。兄弟井戸との分岐を過ぎたら山頂まで残すところ500m、もう一度、汗を絞られる。白雲峰の山頂からは、南漢江が流れる楊平の平野をはじめ、360度の雄大な眺めが満喫できる。目指す北西の迦葉峰には、電波塔やレーダードームが確認できた。

迦葉峰までは、咸王峰、将軍峰を越え、落葉樹の明るい稜線を4.3キロ歩く。クルム峠(800m)まで一気に急下降したのち、登り返すと咸王峰で、小さな展望台から白雲峰が俯瞰できた。そばにはヘリポートがある。東麓の舎那寺へと続く分かれ道を何度かやり過ごし、アップダウンを繰り返しながらさらに進むこと1時間で将軍峰につく。白雲峰から見た時は気づかなかったが、小さな起伏や岩が多く、思った以上に消耗した。

将軍峰には「龍門山 将軍峰」と刻まれた石碑が立っているが、樹木に遮られて展望はなく、稜線上の小ピークという感じ。将軍峰から龍門面延寿里の上院寺へと下るコースは、春にはツツジが美しい。将軍峰から迦葉峰の南側ピークまでは余すところ10分。高い鉄条網に沿った一部分だけが登山者に開放されおり、南側の眺望が良い。だが、軍事施設の監視カメラもあり、なんとなく落ち着かない。玉泉面へ通じる舗装道を軍用トラックが下って行った。

北側ピークへは、東側斜面を横切り、最期に急階段を上がる。こちらも、時間が遅いためか誰もいなかった。西には龍門峰の後方に中元山、道一峰が望め、麓には龍門寺の屋根瓦が確認できた。支尾根を東に900mほど下ったら、最初の分かれ道(890m)を左折し、ヨンカク谷へ急下降する。しばらくして谷底まで下りたら、浮石の多い沢沿いの道となる。「広場岩」を過ぎ、右に左に橋を何度か渡ること1時間で龍門寺に着いた。

新羅時代の913年、大鏡大師(862―930)によって創建された龍門寺は、朝鮮戦争で焼失した後に再建されている。樹齢1100年と推定される大雄殿前の大銀杏は、天然記念に指定されており、暗がりの中でも堂々とした風格を漂わせていた。龍門寺から駐車場までは15分。松などの大木が覆い茂る暗い参道が続く。龍門駅行きのバス本数は多い。 

●アクセス(列車&バス)
・ソウル―楊平 清凉里駅から中央線か、龍山駅を始発とする首都圏電鉄中央線を利用。清凉里駅からムグンファ号に乗車すると約30分所要。
・龍門バスターミナル(龍門駅)~龍門寺土俗飲食村(龍門寺入口 7‐8番バス乗車。一日26本 7時10分~21時。15分所要

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